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日本版SOX法(J-SOX)
(米国版)SOX法の法令化への流れ
米国おいてエンロン(2001年)やワールドコム(2002年)などの大企業が粉飾決算をおこない、投資家に多額の損失を被らせた事件が発生しました。この事件では、粉飾決算を行った企業だけでなく、監査法人独立性や子会社を連結対象から外していた会計基準、社外取締役の監視機能なども問題視されました。
そしてこれらの事件をきっかけに、2002年に立法化されたものが、SOX法(企業改革法、サーベンス・オクスリー法)です。ちなみに『サーベンス・オクスリー』とは、SOX法を取りまとめたポール・サーベンス上院議員とマイケル・オクスリー下院議員が由来となっています。
SOX法は、不正会計や粉飾決算を無くし、財務報告の正確性・透明性を確保することを目的とする法律ですが、その中心となるのが企業改革法の第404条で、『経営者の財務報告に関する内部統制の構築・維持の責任明言』、『財務報告に係る内部統制の整備状況と運用状況の有効性評価の表明』を義務付けています。また、内部統制に重大な欠陥がある場合には、その開示も求めています。
このSOX法は、米国証券取引委員会(SEC)に登録している企業(株式公開企業)に課せられ、その対応に多大なる労力とコストがかかり、企業にとって大きな負担となりました。2005年に公表された調査では、売上高50億ドル超の企業では、平均6万時間、300万ドル以上を要すると報告されています。
日本版SOX法(金融商品取引法)への流れ
米国で企業会計に関する不祥事が続発した時期から、数年後(2004年以降)日本でも、西武鉄道の有価証券報告書の虚偽記載、カネボウの粉飾決算、ライブドアの粉飾決算と米国と同じような事件が続発し、投資家等から財務報告内容に疑念を抱く声があがり始めました。
公開企業の場合、財務諸表については、公認会計士または監査法人による監査が行われますが、これら一連の不祥事においては、不正を見抜く事ができなかったのです。
これらの原因として、会計監査人の独立性や監査業務の管理体制などに問題があったケースもありましたが、監査自体の限界を指摘する声もありました。監査では、企業の作成した財務諸表が適正であるかどうかをざまざまな証拠を基に検証していきますが、時間的な制約等から、必ずしも全ての取引について検証が行なわれているとは限らないのです。
このような中から、企業が最終的に公表した財務情報だけでなく、その情報の背景、つまり情報が作成され公表に至るまでの企業内の財務報告プロセスにまで関心が及んで来ました。
証券市場が健全に機能するには、財務報告の正確さは不可欠であり、これらに対応し金融庁が2005年11月に『ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応』を公表し、すべての開示企業に対して株主の状況に関する開示内容の自主的点検を要請するなど、事件をきっかけに『日本版SOX法』に向けた論議が活発化されたのです。
この『日本版SOX法』とは法律の名称ではなくいわゆる俗称になります。内部統制を義務づける法律としては『会社法』と『金融商品取引法』がありますが、通常 財務報告に関する業務範囲の内部統制を義務づけている『金融商品取引法』を指し、『日本版SOX法』と呼ばれています。
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