会社法や金融商品取引法(日本版SOX法)で求められる、内部統制システムの概要・構築(フローチャート・内部監査・文書化等)の解説サイト

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求められる理由

内部統制は善管注意義務および忠実義務の一部

 『内部統制システムの整備』については、会社法の制定以前から判例上、会社経営者には『善管注意義務および忠実義務』の具体的な内容の一つとして、義務があると考えられてきました。 たとえば、『大和銀行ニューヨーク支店事件』における判決では、次のように述べています。

大阪地裁判決

 業務執行を担当する代表取締役および業務担当取締役は、大綱をふまえ、担当する部門におけるリスク管理体制を具体的に決定しなければならない。この意味において、取締役は、取締役会の構成員として、また、代表取締役または業務担当取締役として、リスク管理体制を構築すべき義務を負い、さらに、代表取締役および業務担当取締役がリスク管理体制を構築すべき義務を履行しているかどうかを監視する義務を負うのであり、これもまた、取締役としての善管注意義務および忠実義務の内容をなす。

 判決文中の『リスク管理体制』は『内部統制システム』を意味し、判例では、内部統制システムの整備義務を『善管注意義務』や『忠実義務』という会社経営者の義務の一部としてとらえられてきました。
 したがって会社法では、これまで判例によって認められてきた『内部統制システムの整備義務』を『法律』としてはっきり明示したのです。

善管注意義務と忠実義務とは

善管注意義務とは

 経営者は、基本的に会社と『委任』の法律関係にありますので、その一般的な義務として、会社に対して、善良な管理者の注意をもってその職務を負う義務(善管注意義務)を負います。 善管注意義務とは大まかにいえば、『経営者(取締役)という地位にある者として一般に要求される程度の注意を払って業務を遂行する』ということになります。ちなみに『雇用契約』である従業員にはこうした義務は課せられません。

民法644条(受任者の注意義務)

 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

 『(会社経営という委任事務を任された)経営者は善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う』これは、経営者に関する様々な問題を考えて行くときの最大のポイントです。 万が一、受任者に専門家としての注意不足があり、そのことにより委任者に損害が発生したときは、受任者は委任者に対して賠償しなければならないということです。これが、善管注意義務違反による損害賠償です。

忠実義務とは

 忠実義務とは、『取締役は、会社と自分の利益が衝突するような場合に、自分の利益を引っ込めて会社の利益を優先させよ』という義務です。会社法では『取締役は法令・定款・株主総会の決議を遵守し、会社のために忠実にその職務を行なわなければならない』と表現しています。

会社法355条(忠実義務)

 取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行なわなければならない。

 

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