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経営者による限界
経営者による不祥事に内部統制は無意味?
内部統制の限界例として一番多いのが、『経営者が不当な目的で内部統制を無視した時』です。
そもそも、内部統制の議論の契機となった、アメリカのエンロン事件、日本で言えば西武鉄道の虚偽記載事件にしても、いずれも経営者自身が行ったことで、近年制度改革の引き金になったような一連の不祥事のほとんどが会社トップレベルから起きています。
ところが内部統制は、経営者を対象にしているわけではなく、基本的に従業員の不正しか対象にしていません。なのに、なぜ経営者が無視したり無効としたりすることのできる、内部統制の議論が起きるのかという疑問もあります。
いくら内部統制を構築し、定着させようとも、これまでのように、経営者自らが行う不祥事には対応できず無力ではないのか?
しかしながら、日本版フレームワークの基本的要素の一つである『統制環境』の中核は、経営者の倫理観、そして行動指針です。つまり、内部統制という範疇に経営者行動を先ず入れ、経営者を巻き込んだ中での内部統制を整備し、それらがしっかりと運用されているかどうかということは、経営者の行動そのものも評価の対象になるということです。
ただ、企業において経営者はそれを超えるえるだけの権限を持っているのも確かです。ゆえに無視や無効としてしてしまったり、あるいは現行の内部統制を踏みにじるような行為を犯してしまうのです。その場合にはやはり、内部統制を企業内部の立場だけで、監視したり評価を行うのには無理があり、また、是正措置を講じるような対応に対して耳を傾けない場合が多々考えられます。
そこでこれらを解決するめに、第三者の力を借りて外部評価が必要となり、公認会計士もしくは監査法人の力が必要となってくるのです。
これは、内部統制の良し悪しの判定をすることが最終目標ではなく、ディスクロージャー制度の信頼性の向上が最終的目標となります。
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