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目的と必要性
マニュアルと経営理念
マニュアルを作成するには、『経営理念』が必要となります。なぜなら、進むべき方向が定まらないままでは、いくらすばらしいマニュアルができたとしても、結果にはなかなか結びつかないからです。経営理念は、従業員が各々の業務を行う上での方向付け・行動指針・心構えの基準となるものであり、これらを具体化・文書化したものがマニュアルだと言えます。
例えば『おしぼり』に関するマニュアルを作成するにしても、『使い捨ての紙製にするか・布製にするか、テーブルに置くか・手渡しするか、そもそも出さないのか』などこれらを判断し具体化するには、『商品の低価格を追求しコスト削減を目指すのか、コスト削減よりもサービス向上を目指すのか』という企業の方向性を示す必要があり、これらの整合性が保たれていなければなりません。
マニュアル作成には、先ず経営理念により従業員の価値観や考え方を共有化し方向性を定めることが必要になります。マニュアルは、それを判断基準とし日々の業務行動において、企業が期待するレベルでの標準化を図り、文書化を行ないます。
このように、マニュアルは『経営理念』と『日々の業務』とを結びつける役目を担っていると言えます。
マニュアルの必要性
『マニュアル』の必要性は、そのマニュアルの目的によって異なる点もありますが、一般的に以下の要素があげられます。
手法や手順の統一化
同じ業務にしても、営業所・支店・担当者ごとに手法や手順が異なり、同じ企業でありながらそれぞれ違う帳票・業務フローが存在したり、お客さんに提供するサービスや品質が異なっているケースは多々有ります。
これらを標準化し、効率化された手順に統一し、グループ内において質の高いサービスを提供できるようにする。
暗黙知の顕在化
同じ部門や部署で隣同士でありながら、なかなか他人の業務内容はわからないものです。もし、担当者が病気で休んだり、突然退職してしまったりしたらたちまちパニックになってしまいます。
そこで『あの人でなければできない』『あの人に聞かなければわからない』など、これらをマニュアル化し、業務内容を明確にすることで、臨時代行や退職時のスムーズな引継ぎが可能となります。
新人の早期戦力化
企業が求めるレベルやその教育方法がマニュアル化されていることで、効率的で統一化された指導が可能となり、管理者は適切な業務配分や客観的な評価が行えます。
ノウハウの継承
長年同じ業務に携わった熟練者には、さまざまなノウハウ・コツ・ポイントが身についているはずです。これらが、前任者の退職と同時に失われてしまったのでは、企業にとって大きな損失となってしまいます。通常引き継ぎとして、数日間や数週間設けられますが、短期間で長年積み重ねてきたものを身に付けることは無理なことです。
日頃からこれらを文書化することにより、担当者の引継ぎによるレベルダウンや停滞を防ぐことができます。
特殊な業務こそマニュアル化
マニュアル化を進めると、必ず「私の仕事は特殊だから文書化なんてできないよ」「この仕事は長年の感と経験でやってるから」と言う声が、現場サイドからあがってきます。マニュアル化は、むしろこのような、特定の人に任せっきりの仕事に必要なのです。
初心者の行なう仕事なら、マニュアルがなくとも業務は進みますが、マニュアルもなく特殊業務を行う人が突然、事故や退職してしまったら、業務はストップしてしまいます。
~中略~
言葉で表現するためには先ず、問題を自分で考え、自分の内部で消化する必要がある。解決策がきちんと自分のものになっていなければ、他人に説明することは出来ない。」
※バイオリニスト諏訪内晶子さん著書「ヴァイオリンと翔る」より
上記は、書籍「社内マニュアルの作り方」での「芸術家だってノウハウの言語化はできる!」で紹介されていたものです。
「マニュアル化できない仕事」など滅多にありません。なぜなら「芸術家だってノウハウ化できる」のだから。
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