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行き過ぎた管理強化
何のための内部統制
内部統制システムの構築では、『人間は不正や過ちをを犯すもの』という『性悪説』にたって、リスクを洗い出し、それをどのように防止するかの対策を考えていかなければなりません。そしてその中では、管理する側と管理される側が存在し、管理を効果的に行なうために新たなルール作成や評価が行なわれます。しかし、行き過ぎた管理強化は社員に多くの負担を与え、会社への不信感を抱かせ企業の活力を奪いかねません。
内部統制の名のもとに、社内入出時の持ち物検査・他部門との接触の制限・稟議書の過剰な決裁者・厳しすぎるパソコン使用制限や検閲など、不祥事防止の管理体制づくりに過剰なまでに反応し、社内の人間関係が崩れ、社外からの信頼を得るための体制づくりのために、社内の人間同士の信頼関係が失われかねない状況となってしまっては、何のための体制づくりなのかわかりません。
JR西日本の福知山線脱線事故では、超過(オーバーラン)を起こした運転手が、超過には厳しい罰則が与えられるため、遅れを取り戻すために制限速度を大幅に越え走行をしていたことが原因の一つではないかと言われ、その罰則の有り方が問題とされました。
内部統制は、現場の状況を無視し、闇雲に負担を増やしプレッシャーを与え頭ごなしに行なっていくのではなく、現場で働く人達のプラスとなり味方となり、前向きに、はつらつと楽しく働ける環境づくりでもあるべきです。
バランス感覚
数年前まで企業では、組織のフラット化・現場への権限委譲・成果主義や能力主義、労働力の外部派遣がもてはやされ、業績好調な企業はこれらを備えていました。そして近年、これらの制度導入が原因とされる問題が表面化して来ている中、いわばこれらにブレーキをかけるかの如く、内部統制・コンプライアンス・コーポレートガバナンスなどの考え方が必要となったのかもしれません。
これは逆に現在政府では、肥大化した官僚や国の管理体制を緩和するために、道路公団や郵政の民営化、社会保険庁の解体、道州制などを行いまた検討をしています。
何事も、片方に行過ぎればバランスを保つために反対側の考えが必要となります。バブル崩壊後、生き抜くために進められた間接部門のスリム化ですが、内部統制・コンプライアンス・コーポレートガバナンスが行き過ぎれば、これらは元の木阿弥となってしまう可能性があります。
内部統制の整備には、バランス感覚も必要となってきます。
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